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執筆者の写真hbrackin

日当たりの良い部屋、日本vs海外

大きな窓がある我が家のリビング。春には新緑や桜、夏には濃厚な緑、秋には紅葉と楽しめ、日当たりも良い最高な位置にあります。

簡単な食事はソファに座りながらリビングで食べることも。


明るく、開放的な空間で食事を楽しみのは、誰もが好きですよね。

そしてある意味、日本では少し贅沢なことでもあるような気がします。


レストランやカフェに行けば、やはり人気があるのが窓辺の席。

お天気の良い季節はもちろん、テラス席。


ただ、日本の住宅は日当たりの良い場所が優先的にリビングとなることが多いのでは。



そこが海外、特に私が知るヨーロッパの間取りとの大きな違いでもあります。


ヨーロッパでは日当たりの良い窓辺がダイニングとしてのベストスポットといった考える人が多いでしょう。また、キッチンも日当たりは欠かせません。

シンクが庭に面した窓辺にあったり、広いキッチンでは普段の食事ができるダイニングスペースもあったり。


それによって、キッチン、ダイニング、リビングの間取りが決まってきます。


日本ではリビングがベストスポット、キッチンは意外と奥の方が多いですよね。

最近ではフルオープンも人気があり、キッチンがリビングダイニングの生活空間の一部となった間取りもだいぶ増えました。でも、マンションや間取り制限のある住宅ではやはり優先順位を考えると最も日当たりが良い場所にリビングが来ることが一般的です。


日本とヨーロッパでのライフスタイルの大きな違いや、気候にも関係するのだと思います。



特に北ヨーロッパは、冬は日照時間が短く、その短い時間は貴重なものです。

平日は朝の通勤時間はまだ薄暗かったり、帰宅する頃はとっくに暗くなっています。


朝食も夕食時も外が暗く、部屋の照明でもちろん食べていましたが、カーテンは開けたままで外の街灯や周りの建物からの明かり、そして同じようにカーテンが開いたままの向かいの家の窓から部屋の中の風景が見え、それぞれが自分たちの暮らしを楽しみながらも、窓越しで空間を共有しているようにもほっこりしたものが感じられました。


日が短い季節でも、休日は遅い時間にブランチや、昼食、コーヒータイムを窓辺で少ない日差しをなるべたっぷり浴びながら過ごすことが好きでした。



そして夏になれば反対に日が長くなり、夜の9時か10時ぐらいまでは明るく、屋外はもちろん、窓辺のダイニングでゆっくり、長い時間をかけて食事を楽しみます。


ダイニングは食事を食べるだけではなく、テーブルを囲んで会話をしたり、今はもしかしたら減ったかもしれませんが、ゲームやトランプをしたり、一家団欒であったり、友人と集まる、ある意味では家の中心となる場所です。

2人暮らしのカップルでも、ゆっくり過ごしたり、一人暮らしでも、陽を浴びながらテーブルで静かに本を読んだり。


その反面、リビングは日中過ごすのが比較的少ない場所です。ほとんどが夜、外が暗くなった時間が多いことから、そこまで日当たりが重視されないのが個人的な印象です。

間接照明やキャンドルでほっこりした薄暗さでリラックスするような場所です。

ソファで会話をしたり、テレビを見たり、本を読んだり。


食事の時とはまた違うようなくつろぎ方ですね。


そんなライフスタイル事情もあれば、建築事情もあります。


特に街中では古い建物がほとんどで、街並みの景観を壊さないための決まりがあります。中はリノベーションができても外観は変えることができません。そのような制限があるなか、日当たりの最も良い場所や、裏庭が見える位置に何を持って行くかと決めることになると自然とそこがキッチンとダイニングになることが多いでしょう。


私自身、ベルギーでインテリアデザインの仕事をしていた頃のプロジェクトや、自分の住まい、友人の住まいを思い出すとほとんどがそのようなレイアウトでした。

イギリスの祖父母の家も、庭に面してた明るい部屋がダイニングで、その横並びにキッチン。反対側の道路側に面したやや暗めな部屋がリビングでした。子供の頃に何度も遊びに行きましたが、そういえば、リビングで過ごした記憶がまったくなく、いつもみんながダイニングで集まっていました。


今の東京での我が家はテラスハウスのような、横並びに同じ間取りの住まいが並んでいるような建物です。キッチンが奥にあり、その前にダイニングがあり、いちばん明るい場所にリビングになっています。窓があるからリビングになったわけではなく、動線的に自然とそのような配置になりました。


引っ越して間もない頃に、数件先に奥様がフランス人の家族が住んでいました。ご主人とフランスで出会い、初めて日本に住んだのがここでした。ある時、彼女のご自宅に招かれ、全く同じ間取りの家でもどのようなインテリアにされているかも興味津々な気持ちで伺った時にびっくりしたのが、我が家にソファがある窓辺のエリアには円型のダイニングテーブルが置いてあったことです。そこに座ってお茶をし、窓からの景色もうちとはほとんど変わらないのに、どこか新鮮さがあったと同時になんだか懐かしいような、とても心地よく、快適な時間だったのをよく覚えています。


ソファは、リビングとキッチンの間にある、我が家で言うとダイニングがあるスペースに。


この場所にソファはちょっとくつろげないと個人的には思いました。

家の造りによって、きっと彼女が理想としていた配置には少し無理があったのでしょうけれども、やはりダイニングが優先なのは、ヨーロッパ人なんだな、と思いました。

日本を全く知らない彼女からしてみればもしかたら、何故このような間取りになっているのかが不思議だったのかもしれませんね。


その後、我が家に招いた時には彼女はちょっと驚いた表情で 「こういうレイアウトにされたのね」と口にしたのを覚えています。今度は彼女が驚く方に。

もしかしたらダイニングが窓辺にないことに対して密かに違和感を持ったのかもしれません。


どちらも間違えではないとは思います。

動線を優先するか、それとも長く過ごす場所の配置を優先させるのか。

何が自分にとって心地よいのかは人それぞれです。


でも、私は今の配置が好きです。気分によってはリビングで食事やお茶もできますし、ダイニングに座っていても、リビングの風景や、その奥の窓の外の景色も楽しめるから。 


でも、もしゼロから理想の家を建てることになり、どっちかを選ぶとしたらどっちを選ぶでしょうかね。


それはその時に考えることにしましょう。

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